酔麗花



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+++2017年 中国 全56話+++
2018年に視聴

本当に面白かったです。
『王女未央』以来なかなか完走できる中国ドラマに出会えなかったんですが、これは序盤で心を鷲掴みにされ毎日の放送が楽しみであっという間に全56話最後まで観たという感じです。

このドラマ色々好きな要素は多いんですが、何といっても脚本の奇抜さが好きでした。
序盤で惹きつけられて最後まで観終わった後にその上手さにため息をついてしまいました。
最初にストーリーは5話である地点にたどり着き、視聴者は残りはどうせこうなるのだろうと思いつつ、いやいやでもこれはどういうことなんだろうと謎解きのような気分になり、最後の2話で一気に決着をつけていき、そのあまりに上手い回収は気持ちいいです。
とても斬新なドラマでした。


以下、かなり長文です。しかもネタバレ全開です。

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元々ファンタジー要素のある中国ドラマってあまり得意ではなくて観るまでは期待より不安の方が大きかったんですが、ドラマの世界観、序盤のスピーディーでドラマティックな展開、演じている俳優さんたちの安定した演技、キラキラとした派手な装飾ではないもののシックな衣装や細やかな演出がいい感じにそのファンタジー設定を魅力的に見せてくれていて、楽しくツッコミつつ視聴できました。

とにかく主役の二人・元凌(陳偉霆)と卿塵(劉詩詩)の所作が美しく身体の切れがいいのでワイヤーアクションでも綺麗で眼福でした。私、中国の女優さんでは多分詩詩ちゃんが一番好きなんですが、元々バレエをしてたらしくてその姿勢が凛としていて余計に好きです。
皇帝の第4皇子である元凌と、皇族を守る巫族の卿塵は出会い惹かれあい、そこに元凌の出自を起因とした陰謀や封印されていた卿塵の正体などがものすごい勢いで描かれていき・・・

ドラマの序盤5話まではあっという間に元凌と卿塵はこんな風になりますが(端折り過ぎ/笑)
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元凌の弟(本当は従弟にあたる)第7皇子の元湛に陥れられ、元凌と卿塵は死を覚悟する事態に・・・。

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このシーンの元湛の演技は圧巻。
階段を昇ってくるあの表情の余韻と記憶だけで残り50話以上、楽しめます。

このシーンで、父(本当は叔父)元安が元凌に言う台詞
<覚えておけ。私の息子はそちより残忍だ。>
この言葉のなんと重いことか。言霊という感じ。
私は完全にこの言葉に囚われてここからのドラマを視聴することになってしまいました。

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このシーン、とても好きです。
共に生きることが出来なかったら共に死のうと誓い合った二人だけど、愛する元凌を守るため大切な巫族を守るために、聖巫女の卿塵が九転玲瓏陣を開くことにして、誰もが静止している場面で霊蝶を使い元凌にだけ聞こえるように彼女の決意を伝えるシーン。
耳は聞こえて彼女の決心を聞いた元凌が必死に瞳を動かして彼女を止めようとするシーン。



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そして時空は歪み、卿塵は1年前の世界へと・・・。
しかしそこはまるでパラレルワールドのように少しずつ何かが違っていて、彼女の事を誰も知らない世界。
そこで彼女は愛する元凌を今度こそ無事に即位させるために、孤軍奮闘していきます。



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しかもこの世界での二人の再会もものすごく早い(笑)
このあたりのテンポの良さが個人的にストレスフリーです。
あっという間にまた出会って、なんだかんだと言って意味深に好意を振りまきながら元凌に接近してしまう卿塵。

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卿塵のことは全く記憶にないのに、初めて彼女の名前を聞いたときに少しだけ訝しそうにする元凌がまたイイ!
この元凌、実に絶妙なバランスのいい男なんですよね~。
軍神と近隣諸国に恐れられるほどの英雄なんだけど、理性的で頭の切れも抜群。
派手な言動は決してせずに危険な野心を持たず、己の能力を淡々と父王の為に捧げているけど、ただ言いなりになっているだけではないという感じ。
出世や生き残りレースに固執してはいなくて、むしろたまに己の命すら惜しんでないかのようなそんな魅力的な男。
そんな彼の前に突然現れた不思議な卿塵に興味を持ち、運命のように惹かれていく元凌。

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でも突然冷たく接する卿塵に翻弄され、たまに暴走して悶々としてお前は中学生かとツッコミたくなるほど恋に悩まされる元凌もそれはそれは可愛くて楽しい♪

とにかくこの主役のカップルが共に理性的で戦闘能力も高く、想い合う気持ちが一切ブレないので観ていてストレスがありませんでした。
演じている中の二人の演技もすごく好きでした。


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そして、私がこのドラマで最も色んな意味で心に残ったのがこの元湛。
そう、あの第一時空で元凌を追い込んだ張本人。
暗巫と手を組んだ彼の極悪非道な人相は鮮烈でした。

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でもこの時空の彼は、暗巫と手を組んでいなくて穏やかで芸術を愛する皇子。
私利私欲で自分の腹を痛めた息子すら犠牲にする母の重圧に悩みつつも、決して骨肉の争いをする修羅の道を歩もうとはしない元湛。
以前の教訓で元湛を警戒して接近してきた卿塵を不審に思いつつも、彼女を愛してしまう元湛。
でも愛する女性の気持ちが自分ではなく元凌に向いているのを最初から気付いていて、心を痛めつつも変わらずずっと彼女の力になろうとする切なさ爆発のキャラ。
恋のライバルでもあり政敵でもある元凌の事も決して憎まず、途中で第一時空の結末を知った元凌に冷たく当たられても彼を裏切ることは父王の命令でも出来なくて、最後の実母の命を懸けた脅迫で仕方なく追い込もうとするものの、卿塵への愛情の前では全てを投げ出そうとする報われない愛情が切ないんです。





さて第二時空で暗巫と手を組んだのは第9皇子元瞑なんだけど、その結末を比較してみてもいかに元湛がすごい能力を秘めていたのか分かる気がします。(さりげなく元瞑をディスってしまったけど)

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この元瞑というキャラもなかなか楽しかったです。
そもそもこの人は、暗巫と組んでなかった第一時空でも野心満々だったので元々の気質なんでしょうね。
皇太子と同腹というのも関係しているのかもしれない。

しかし、この元瞑はなぜか妙に女性にモテモテなんですよね。
私がネットで見かけた情報によるとこの元瞑は原作の小説では一番の美男子設定らしくて、もしかしたらそれが関係しているのかもしれない(笑)
基本的に同情も魅力も感じないキャラなんだけど、亡くなった妻を愛していたり(その愛ゆえに暴走してたけど)、第3皇子元済にだけは優しかったりと色んな側面を描かれていたのが興味深いです。


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その元瞑を愛してしまう女1が、元瞑の妻の妹である鸞飛。
禁断の愛に酔いしれ暴走してしまうキャラでしたが、偽の姉として現れた卿塵への対応に嫌な感じは全くなくて、本来は本当に素直で可愛い気質の女性なんだろうなと割と好きでした。
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元瞑を愛してしまう女2が暗巫の武娉婷。
この人、第一時空では元湛の傍にいるけどこの時空では元瞑の手足となり彼に尽くしまくり。
たまたまこの女優さんは少し前に挫折した「麗王別姫」で見たんですが、この武娉婷のキャラの方が生き生きとしててむしろ綺麗でした。意外と出番も長かったしね♪


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第3皇子元済は第一時空では元瞑と一緒にものすごく感じ悪かったんですが、この時空では割と控えめで穏やか。
ちと元瞑とブロマンス的な要素を出しつつも薄い存在感のまま亡くなってしまうような可哀そうな皇子。


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そして皇太子である元灏。
私このキャラもなかなか興味深かったです。
第一時空で元凌がクーデターを起こし即位した後も淡々と運命を受け入れている感じで、次の時空で同じように父王に逆らわず粛々と己の役目に徹している感じなんですよね。

このドラマ、第一時空と第二時空では色んな状況が変わっていてそれぞれの運命も変わるんですが、基本的に登場人物のキャラにはブレがなくて慌ただしく描かれた第一時空では分からなかったそれぞれの心の動きが第二時空を観ていくうちに想像できるような感じがしました。


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そして、面白かったのが皇帝元安のキャラ。
演じているのが琅琊榜の謝玉だったけどまたもや愛する女性には愛されないキャラ(身分は上がったのに)
兄から卑怯な手段で皇位を簒奪した故に疑い深くなってしまったキャラをこれでもかというくらい演じていました。

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第一時空ではすでにこの世を去っていた蓮妃(元凌の母)が第二時空では生きていて、第一時空ではすでに元安は元凌が自分の実の息子ではないと知っていたんですが、第二時空ではその事実は知らない設定になっていましたよね。

じゃあ第二時空の元安がその事を全く知らなかったのかというと兄から皇位と蓮妃を簒奪した時に、元凌の出自については噂になっていて全くの寝耳に水ではなかったと思うんですよね。
ただ、はっきりと蓮妃の口からその事実を告げられるかどうかが彼にとっては大きな違いだったんでしょうね。
何となくこのあたりの微妙な気持ちが分かるような気はします。
愛する人が自分の事を思って嘘をついてくれるならそれで良かったんだろうなあと。









それ以外のキャラもそれぞれ描かれ方が少し面白かったです。

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第11皇子である元澈。
どの時空でも元凌の近くで彼を慕っている弟なんですが、基本的に明るく誰とでも気さくに接する子犬のようなキャラ。
誰よりも元凌の心の動きにも敏感で、ずっと元凌と卿塵の事を気にかけている可愛い弟でした。
でもただの能天気なキャラなだけでもなく戦場では冷静に状況を見極め兄を常に助けて戦い、いざという時には兄の愛する卿塵を命がけで守ろうとする男らしい面もあるんですよね。
恋愛面というかなぜその子が好きなのというあたりだけちょっと残念なキャラでしたが、それ以外は本当に癒されるようなキャラでした。



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そして、完全に癒しパートなのがこの二人。
末っ子である第12皇子元漓と巫族の冥魘。
正体は玲瓏使らしいけどあのイケメンはどこ行ったという感じの元漓ですが(本来の元漓の魂もどこに行ったのか/笑)、たまに見せる玲瓏使としての使える感じとかずっと卿塵の事情を知っていて運命共同体のところとかもあって色々安心できるキャラでした。
そして、そんな元漓と冥魘のやり取りもまあ定番なんだけど好きでした。
最終話で自分の正体を明かした元漓が冥魘に言ったセリフ〈私の事は忘れてくれ〉を最後にちゃんと実践して陰でこっそり微笑む冥魘のツンデレキャラにほっこりしました。

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そして、最もウザいのがこの二人。
いや、正確にはウザいのは木颏沙だけだけど(笑)
皇子たちが比較的みんな理性的でそこそこ魅力的な分、その代わりに一人で脳筋キャラで無駄に目立っていた不憫な感じではありましたが。
そもそも朵霞公主の阿柴族が何だかダサいというか、そのゴタゴタに終始付き合わされていてウザかった(汗)
朵霞公主自体はそんなにウザいキャラでもなくて、卿塵には敵わないと最初から諦めていたしそんなにイライラするキャラではなかったのが救いですが。
そういえば、このドラマって割と女性キャラがみんな魅力的ですよね。
最後になってようやく彼女の存在意義が分かって少し納得はしましたが、個人的に木颏沙の出番をもう少し減らすかもう少し魅力的に描いて欲しかった気がします。





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中国ドラマではお馴染みの韓棟。
今回は卿塵の師匠・昔邪長老役なんだけど、第一時空の最初の3話くらいの彼がとにかく魅力的。
過去ここまで韓棟が魅力的だったことはあるのか、いや絶対にないと即断定出来るくらい彼の魅力が脇役なのに活かされていて驚きました。
桃殀に贈った造夢術とか本当に泣けたし。

しかし、第二時空の彼にはガッカリ。
大人の事情であまり撮影に参加できないのではと邪推されるくらいとにかくずっと座ったまま(爆)
彼がいつ立つのかが気になってしまうくらい。
髪型もあのエイリアンのような飾りがなくなると驚くほど縦長で気になって仕方ない。
しかし、実際に立ち上がった後の昔邪はあんなに可愛がった卿塵の事を当然覚えてはいなくて妙にクール。
最後まで聖巫女の卿塵を九天玲瓏陣に戻すことのみ淡々と動いていて、あの第一時空の師匠を返してくれといいたいくらいでした。


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昔邪と共に長年巫族や離境天を守ってきた桃殀長老。
私はこの人が本当に好きなキャラでした。
理性的でとても頼りになる素敵な女性で、第二時空で誰にも信じてもらえない卿塵の事を事情は分からないけど協力し合い、少しずつ彼女の素性や経緯を推察してずっと支えてくれた人。
第二時空でぼんやり座り込んでいる昔邪の分まで必死に頑張ってくれた感じです。

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あと一人、桃殀と共にずっと卿塵や巫族の為にすごく頼りになったのが莫不平。
ただのオッサンキャラかと思いきや、終盤メチャクチャ強くて早くからもっと活躍してよとツッコみたかったくらい(笑)



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悪役キャラ二人、武娉婷&鳳衍。
この二人は第一時空では元湛の側近になっていて、第二時空では元瞑の近くにいるのが面白い。







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最後の元湛の結末が本当に胸を締め付けられるようでした。
でもその切なさやほろ苦さがあるから私はこのドラマがとても好きなんです。

結局、第一時空で卿塵が九転玲瓏陣を開く前と同じように元凌から元湛へ君主の座は渡されたことになるんだけど、そこに行くまでの経緯が全く違うんですよね。
命を懸けて卿塵が時空を歪め、そんな卿塵を愛してしまった二人の皇子たちの顛末がとても対照的でした。
一方は権力を失う代わりに愛を得て、一方は権力は手にしても愛は得られない。
この元凌と元湛ともに母親の業を背負わされながらもその母を憎むことはなく、上手く気持ちの折り合いをつけながら道を模索するあたりがすごく好きでした。


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どの時空でも変わらずに卿塵を愛し続けた元凌なんですが、その愛がどんどん深くなっていき彼が魅力的になっていくのが第二時空の中盤くらいで少しずつ第一時空の記憶が見え始めて、桃殀の力を借りて卿塵の事情を知ってから。
少しずつ体力がなくなっていく卿塵を案じ、それでも必死に支えようとする愛の深さには本当に泣けました。
最終話直前の55話で、本当に卿塵の残された命が尽きようとして彼女の姿が透き通ってきた時に、振り絞るように〈我愛你〉と告げるあたりとか本当に最高でした。

最後、自由に生きていく元凌と卿塵。
この最後の卿塵の髪型が可愛い♪

劉詩詩ちゃんって、やはり私は好きな女優さんです。
このドラマもそうだけど、途中から弱っていく演技が妙に上手いんですよね。

彼女の主演作だと「歩歩驚心」はドラマとしては傑作なんだけどヒロインが好きなのかと言われると悩んでしまうキャラでしたが、私は「風中奇縁」がドラマとしてもすごく好きでそのヒロインも結構好きでした。
そしてこの「酔麗花」もそれと同じくらい好きなドラマでありヒロインになりました。


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そして、第一時空と第二時空で個人的好感度が全く異なる昔邪ですが、桃殀と無事に再会できて本当に良かった。
どういう理屈で桃殀が復活したのかは謎ですが、ドラマ的にはこの二人には本当にどの時空でも幸せになって欲しかったのでその要望に応えたようなラストに大満足です。



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噂では、最終話に出てこなくて元凌と卿塵が探しに行こうとしていた元澈ですが、そのあたりは番外編があるらしくてこの4人がメインで出てくるらしいです。
が、おそらく日本にはさすがに来ないかなと思っています。
気になる方か色々検索したら分かるのではないかと(私はそこまでこの二組のカップルに興味はないので調べてないんですが)


初めてちゃんと完走した中国ファンタジー歴史ドラマでしたが、ストーリーも登場人物も魅力的で、衣装も好みだったし以前は度肝を抜かれた驚愕のCGもかなり進化してて(それはそれで少し寂しいけど)、主題歌も挿入歌もどれも好きな感じでかなり好みのドラマになりました。




個人的評価(★5が満点) ★★★★★

by spring-mei | 2018-09-11 13:09 | 華流ドラマ さ行 | Comments(0)

台湾・中国・韓国そして日本ドラマの気ままな感想綴り


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